こんにちは。
めぐさんです。
車高を上げたバイクに伴うサイドスタンド問題
写真はフロントフォーク延長&リアバギータイヤ化によって大きく傾いた私のTW
オフロードバイクによくある外径の大きいタイヤの装着やフロントフォーク延長などによる車高アップを行うと、サイドスタンドの長さが足りなくなることにより駐車時にバイクが大きく傾いてしまう問題があります。
平地だと重さを感じて起こすのが面倒になる程度なのですが、路肩の傾いている場所や強めの傾斜のある駐車スペースにバイクを置いた際傾きの限界を超えて倒れてしまうことがあり、特に柔らかい地面の場合重さでズブズブと地面にスタンドが沈んでしまい更に倒れるリスクが上がるので結構厄介な問題でもあります。
これは主にトリッカーやブロンコのセロー足移植やモタード車種のオフ足化などで発生しやすく、同車種内であれば長い方のサイドスタンドを移植する(例:セロー足=セローのサイドスタンド等)ことで解決することが出来ます。
問題はTWにそんな同車種が無いことです。
選択肢は大きく分けて3つ
1.社外品の購入
恐らくこれが一番ポピュラーな方法ではないでしょうか。
各社から販売されているTW200用サイドスタンドを使って適正な長さに調整します。
ですが…
…残念ながらTW200用のロングサイドスタンドは販売されていません。
調べてみた範囲でも過去TW200用のロングサイドスタンドの販売実績は無かったようです。
2.ワンオフ品の製作
こちらもやっている方は多いのではないでしょうか。
自宅に溶接環境がある方は自分で純正スタンドをカットしてパイプを継ぎ足して好みの長さに自由に好きなだけ調整することが出来ます。
気に入らない長さでもいくらでもやり直せることも大きな利点ですね。
溶接どころかグラインダーを動かせるような環境さえない!という方にはネット上での溶接加工サービスを利用するという手もあります。
今は有難い時代で、ヤフオクなどで部品を送って指定の長さで延長してくださいとお願いするとカットから溶接から塗装まですべて行ってくれるサービスもあります。
ただしこれはあくまでも必要な延長量が分かっている方限定で、伸ばし過ぎた場合や短かった場合に修正が出来ない/面倒な場合が多く、数千円払って結局微妙な出来になってしまう場合もあるので正しい知識が必須となります。
資金が潤沢にあるのであればカスタム系バイクショップにお願いしてしまうのも手です。
この場合プロにお願いするのできっちりと仕上がりますし、予算次第ではパウダーコートやメッキ加工なんかも出来るのが大きな利点です。
3.他車種の純正/社外品流用
TW200はヤマハ製のバイクです。
そしてヤマハのバイクは流用(可能)部品が多く、特にTWはセロー、ブロンコ系車種と設計を共にしている部分が多い車種でもあります。
また、年式が大きく違っていても設計は似たり寄ったりな部分があるので小加工で意外と何とかなる場合もあります。
今回のTW200に車両を絞った場合、ポン付けの範疇として装着可能なのがセロー225、ブロンコの2車種。
径の変換カラーの追加により装着可能となるのがセロー250とトリッカーの2車種となります。
この場合の欠点としては、アバウトな刻みとなるのでミリ単位での調整ができないこと、セロー250系流用の場合はカラーの製作にグラインダーや鋸が必要となることです。
また、純正品が流用可能となる場合ほぼその車種用の社外スタンドも流用可能であり、この場合ZETAのアルミスタンドが流用可能です。
ただしこの場合は破損によるクレームは不可能であることは勿論、車重や重心の違いにより過剰な負荷がかかりスタンドや軸が折れてしまうリスクがあることも頭に入れておく必要があります。
今回の選択
今回は純正流用を採用しセロー225用とトリッカー用を装着し比較してみました。
右から
・TW200純正
・トリッカー純正
・セロー225純正
となっています。
後に各車種のスタンドを流用した場合の長さの違いによる角度変化を写真で紹介いたします。
サイドスタンドの交換方法
必要な工具
・作業用グローブ
→スプリングの脱着の際工具が弾かれたり外した瞬間スプリングが暴れることがあるので絶対に必要です。
手にバチンと当たるとほぼ必ず手を怪我するので面倒でも装着しましょう。
・ジャッキ
→家の壁や柱に車体を傾けて安定させられる方は基本的に不要ですが、安全に作業するためにもあった方が楽です。
通常のガレージジャッキでもいいですが、車体を斜めに接地(後述)させるので地面との接地面が広いものが最適です。
私はDRCのオフロードスタンドを使っています。
・17mmソケット x2
→スタンドを車体に固定しているボルトを脱着するのに必要です。
片方はメガネレンチで代用が可能ですがクリアランスの関係で必ずオフセットされているものにする必要があります。
・スピンナーハンドル
→ソケットを回すのに使用します。
ラチェットハンドルで代用可能ですが、短いものだと腕力が必要です。
私の場合はラチェットとスピンナー両方を使っています。
・ピックツール
→スタンドのスプリングの脱着に必要です。
L型の固いものを使用します。
私はSK11の安いものを購入しました。
マイナスドライバーで代用する方もいますが先端が痛むと厄介なのでオススメはしません。
セロー250やトリッカー系のスタンドを流用する場合はこれに14mmソケットが必要となります。
TW純正スタンドを車体から外す
車体を反対側に傾ける
スタンドを外すために車体を傾けます。
私の車両置き場には頑丈な壁がないのでジャッキを仮のスタンドとして使用します。
TWの場合、重心が低いのでフットペグのステーの付け根をジャッキに接地させて右側へ傾けさせました。
このタイプのオフロードスタンドだと重量に負けて倒れることも無く、ゴムのリブが滑り止めとなりグラつくことも少ないのでとても便利です。
スプリングユニットを外す
まずはスタンドをフリーテンションにするためにスプリングを外しましょう。
スタンドセンサーはTWの純正品をそのまま使うので、プレート部分の汚れを落としたり摩耗具合をチェックして気になるようであれば新品に交換しましょう。
品番は5Y1-27315-00で700円弱です。
裏に留まっているボルトナットを外し、スタンドを外す
TWの場合、スタンドの本体にもねじが切っており、更にその先にゆるみ防止のロックナットが装着されています。
先に裏側にある17mmロックナットを外し、同じく17mmの表側ボルトを緩めて抜き取ります。
これでスタンド本体を取り外すことが出来ました。
~スタンドの構成部品~
サイドスタンド
品番:2JX-27311-02 価格:4,367円
テンションスプリング
品番:90506-29360 価格:880円
ボルト
品番:90109-10473 価格:242円
ナット
品番:90185-10037 価格:264円
スタンドセンサー(スタンド側)
品番:5Y1-27315-00 価格:660円
スタンドセンサー(車体側)
品番:3LD-82566-60 価格:4,521円
各スタンドの取り付け
セロー225用の場合
この場合取り付けは簡単。
外した逆の順番に取り付けるだけです。
スプリングはTW純正品をそのまま使います。
今回は比較撮影のみなのでボルトやナットもそのまま再利用しますが泥や飛び散ったチェーンオイルなどでボロボロになっていることが多いので新品に交換を推奨します。
~使用部品~
サイドスタンド
品番:1KH-27311-02 価格:6,732円
ボルト(セロー225用→TWと同じですがねじロックが付いています)
品番:90109-10473 価格:242円
ナット(共通)
品番:90185-10037 価格:264円
締付トルク:40Nm(ナット側ボルト側明記無かったので両方同トルクで問題なしと思われます)
セロー250、トリッカー用の場合
今回はトリッカー用を使用しました。
スプリングやボルトも各車種用を使用します。
TW、セロー225用(上)とトリッカー、セロー250用ボルト(下)の比較です。
頭のサイズは上のものが17mmに対し下のものは14mmとなっています。
ねじ山の径は同じ10mmですが、TW/セロー225用の物は12mmのショルダー(段付き)ボルトとなっており、そのままだとスタンドにねじが通りません。
そのためトリッカー用の専用ボルトが必要となるのですが、今度はフレーム側が段に合わせた12mm径の穴のためにそのままだとスカスカになってしまい、使い込んでいくうちにフレームが削れて長穴になってしまうリスクがあります。
そこで必要になるのがこのカラーです。
モノはキタコの外径12mm内径10mmカラーで、これを厚さ8mmにカットしたものとなっています。
これをフレーム側の穴に差し込みボルトを入れるのですが、この時少量のグリスを塗っておくとスタンドの摩耗防止と取り付け時のカラー落下防止になるので有用です。
車両に固定するボルトナットの取り付けですが、画像右側のTW純正やセロー225用と比較すると裏側にねじが切られていないストレートな穴になっており、そのままM14のボルトを差し込みナットで締める構造になっているので注意が必要です。
ナット自体はどの車種でも共通の物を使用しているようでした。
スプリングは上画像の下側、トリッカー用の物を使用しています。
若干トリッカー用の方が長い他、TW用のものと違い片側のフックが回転する構造になっており、フレキシブルな動き(とはいえ誤差の範囲の可動ではありますが)を期待できます。
~使用部品~
サイドスタンド(セロー250)
品番:3C5-27311-10 価格:3,586円
スプリング(セロー250)
品番:90506-35473 価格:682円
サイドスタンド(トリッカー)
品番:5XT-27311-00 価格:3,025円
スプリング(トリッカー)
品番:90507-29009 価格:781円
ボルト(共通)
品番:90101-10013 価格:275円
ナット(共通)
品番:90185-10060 価格:363円
ナット締付トルク:44Nm
スタンドのグラつきが酷い場合には
個体差の問題や過走行個体の場合、スタンドのテンションスプリングを外したタイミングでスタンド本体が前後に大きくグラつく場合があります。
これは車体側の穴が擦れて薄くなってしまったり穴自体が長穴になってしまうことに起因している症状であることが多いです。
このグラつきは常にスプリングのテンションによって引っ張られているので走行中に影響はしないものの、車体に対してスタンドが斜めにセットされてしまうので純正品であっても本来設計した傾斜角よりも強く傾いてしまう場合があります。
長穴になってしまうと溶接で肉盛りをした上で穴を整形し直すなどの大掛かりな補修が必要となってしまいますが、薄くなっているだけであれば間にワッシャーやシムを追加することである程度軽減することが出来ます。
TW純正ボルトを使用する場合は内径12mm、セロー250系ボルトを使用する場合は内径10mmのシムが必要となり、フレームとスタンドの間に均等になるように挟み込みます。
個体差や摩耗具合によって状態は様々なので一概に厚み〇〇mmの指定はできないものの、基本的には0.3mm~0.5mmのシムを複数枚使用することとなると思われます。
仕様比較と実際の傾き
ベース車体はバギータイヤ+80mmロンスイ+70mmロングフォークエクステンション装着車です。
純正シート高790mm(カタログ)に対し、この個体は830mm(シートの一番低い箇所で計測)となっております。
表記したスタンドの長さは取り付け穴中心部~接地部の一番外側(つま先部分)での計測です。
TW200純正スタンド
スタンド長さ:330mm
純正スタンドでの傾きはこれくらい。
ノーマル車高向けのスタンドで車高を上げるとここまで傾くようになります。
平地でも直立に起こすのは結構大変で、この状態で少し強めに押すと結構簡単にスタンドを乗り越えて倒れてしまいます。
これが傾斜地となると更に傾きは強くなり、ほかの人がぶつかってしまうと倒れてしまうリスクさえ発生してしまう危険性のあるラインとなります。
トリッカー純正スタンド
スタンド長さ:345mm
TW純正+15mmロングのトリッカー純正スタンドです。
数字にすると僅か15mmの違いですが、角度として見ると結構な差異があることが分かります。
実際起こしてみるとかなり体感としては軽くなりますし、反対側へ押す力もかなり強くする必要があるので効果は絶大です。
私の仕様だと流石にこれでも少し傾きが足りないような気もしますが、セロー250用がこれよりも更に若干長いようなのでそれでちょうど良くなるな?という感じです。
主にリアのバギータイヤ化のみの仕様向けです。
セロー225純正スタンド
スタンド長さ:365mm
TW純正+35mmのセロー225純正スタンドです。
ここまで来ると傾きはかなり浅く、ほぼ直立と言っていいレベルとなります。
この仕様でしばらく運用していましたが、何より平地での安定性がかなり悪いので乗り込みの際かなり怖く、強風で倒れやすいです。というかカバー着用で実際勝手に倒れました。
バギータイヤ+ロングフォーク+セローサスのクロカン向け仕様に丁度いいレベルの高さと思われます。
目立たないカスタム
今回はサイドスタンドのカスタムを紹介しました。
バイクは乗って楽しむものではありますが、所有していても実際乗ってる時間よりも置いてある時間の方が長い方は多いのではないでしょうか。
出先に行けば必ず使用するものでもありますし、人気のスポットや駐車場などバイクをきっちり整列させる必要がある場所では大きくスペースを取る必要が出てきてしまい迷惑をかけてしまうのでは…という状況に出くわした方もいるかと思います。
どの車種にもレース用車両を除けばほぼ必ず装着されているものではありますし、周りからは間違いなく気付かれないとは思いますが分かる人は分かるようなカスタムで細かいところに気を配るのも面白いものです。
クローム加工などを楽しむついでにこのようなカスタムを楽しんでみるのもいいかもしれませんね。
実はTW200用センタースタンドが販売されています
余談ですが、TWに乗っている方でセンタースタンドが欲しくなった方はいませんか?
バイクのセルフメンテナンスをよくしている方などでそういう話を聞きますが、国内では残念ながら専用のセンタースタンドが販売されたことはありません。
ですが、なんと海外では専用のセンタースタンドキットが販売されているのです。
製作販売しているのがアメリカはテキサス州のNomadic Cycle Rack社。
以前からTW200用リアキャリアを販売しているメーカーで、汎用のセンタースタンドキットではオフロード走行時のクリアランスをスポイルしてしまいTWの本来の用途を阻害してしまうとのことで専用品の開発をしたようです。
取り付けの関係で残念ながら純正アンダーガードは同時装着不可能なものの、依然ブログですこし紹介していたRicochet製のアンダーガード等は小加工で同時装着が可能です。
純正タイヤでは画像のようにリアタイヤをしっかり浮かすことが出来、なおかつ格納時はグランドクリアランスを一切阻害することは無いのでしっかりとオフロード性能を維持することが出来ます。
また、純正のサイドスタンドも個別に作動させることも出来るので非常に利便性は高い製だと思われます。