BW200というバイクが欲しい(2022年5月更新)

こんにちは

 

 

今回はTWの実質的な兄弟車であるBW200というバイクを紹介していきます。 

この記事は2019年7月に公開した記事を全面的に改修・加筆した内容です。

 

TWによく似ているバイクがある

global.yamaha-motor.com

 

 

一見するとTWやセローをベースにカスタムされたような見た目ですが、由緒正しきヤマハのバイクでBW200という名前で販売されていました。

 

1985年に発売され、北米でのファンライドバイク(お遊びバイク)という位置付けで開発、販売。

北米やヨーロッパ圏で一定数の人気を集め、1986年にはセルモーターを装備するなどの改良をし最終的には1989年まで生産されていました。

 

ファンライドバイクとしてのコンセプトということもあり基本的には公道走行不可(ナンバー付き車両も有りますが)だった関係なのか、日本国内では人気もなくほとんど売れず僅か1年ほどで販売終了。

元々の販売数の少なさや現代で同じような見た目の車種が無いこともあり、現在日本市場では本来のファンライドバイク用途よりもマニアックな転売・コレクター車種として高値取引されているようです。

 

同じBWシリーズの中には排気量違いのBW350とBW80が存在しています。

その中でもBW350は200より短い1987~88年の発売期間だったものの、ただのボアアップ版ではなくフレームを含めほぼすべての部品を別設計としモノショックを採用するなどかなり気合の入った仕様となっていました。

 

車両スペック

車両名:BW200 BIG WHEEL

車両型式:54G

全長:1,985mm

全幅:830mm

全高:1,090mm

車両重量:117kg

ブレーキ型式(前):ドラム

ブレーキ型式(後):ドラム

タイヤサイズ(前):25x8-12

タイヤサイズ(後):23x12-9

エンジン型式:54G

エンジン種類: 空冷4サイクルSOHC/2バルブ

総排気量:196cc

圧縮比:9.5:1

ボア径:67.0mm

ストローク:55.7mm  

最高出力:7.7kW(10.5PS)/7500rpm

最大トルク:10.79N・m/5500rpm

始動方式:キック式

点火方式:C.D.I.

クラッチ方式:湿式多板コイルスプリング

変速機型式:常時噛合式前進5段リターン

燃料供給方式:キャブレター

潤滑方式:強制圧送ウエットサンプ

燃料タンク:7L

 

特徴的なポイントとか

どこを切り取っても特徴みたいなバイクですが…

エンジン

Craigslist: 1986 YAMAHA BW200 – The Big Wheel – NeverDropped

巨体を動かすエンジンは196cc。

 

エンジンそのものは実はベースとなったXT200のエンジンをほぼそのまま使っているため、BW専用にどうこうしている部品は少なくTW200の部品が使えるところも結構あります。

TWは現行生産車両なのでエンジン回りの補修部品も手に入れやすいですが、逆を言えばTWに受け継がれなかった部品、例えば左右クランクケースカバーやスプロケットカバーは廃盤となっており、この辺りの部品の状態がレストアの際のカギとなるといえます(逆に内部のクラッチ関係部品はギリギリ廃盤になっている部品は無いっぽいので明確に走行に関係するエンジンまわりの部品は生きている?)。

 

また、珍しいのが初期TWで装着されておらず225になってから採用されたデコンプがこの時点から既に採用されていることで、この辺りの理由が少し気になるところです。

 

バルーンタイヤ

Going Big And Retro - My 1985 Yamaha Bw200 | Blogpost | EatSleepRIDE

画像は社外マフラー装着車

このバイクの一番の特徴であり大きく目を引く前後タイヤ。

TWのバルーンタイヤはこのBWのタイヤのイメージを引き継ぎストリートリーガル向けとして昇華させたものです。

 

前後アルミリムに組み合わされるタイヤはダンロップ製でフロントがKT646(25x8.00-12)、リアがKT647(23x12.00-9)で共にチューブレス。

現在は共に廃盤なのですが、ここで発生する問題はタイヤ選択の幅の狭さ。

フロントの25x8.00-12は現代のATVやバギーにも採用されているようでそれなりに出回っている(私の履いている銘柄のタイヤにもラインナップあり)のですが、ネックなのがまず見かけない9インチホイールを採用したリア。

 

ATVやバギー用であってもタイヤ外径23インチに内径9インチの組み合わせ自体がほとんど無く、タイヤハウスとの兼ね合いで24インチ以上の外径を履かせることができないそうです。

仮にスイングアームを延長するとしてもリアフェンダーの垂れ下がった形状がタイヤと干渉してしまう為、22インチにサイズダウンさせるか後述する10インチリムのキットを購入するのが現実的なようです。

 

スイングアーム

advrider.com

(画像は両側のチェーンカバーを外した状態)

エンジンに対してホイールの幅があまりにも合わないため、スイングアームの途中にオフセット機構を入れチェーンを二か所使うという豪快すぎるシステムになっています。

 

サスペンション自体は二本サスを採用していますが、通常のオートバイはホイール付近に装着されているショック本体がスイングアームの幅の関係でピボット部付近にセット。

そこに更にオフセット機構も加わり相当部品が詰まったスイングアームとなっており、開発者の苦悩が伺えます。

チェーンは520でエンジン側が42リンク、タイヤ側が74リンクです。

 

外装 

 
 
 
 
 
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モデル末期までカウル形状は変わらず。

公道モデルではないのでメーターやウインカー、ミラーなどの公道走行用の部品は装備していません。

特別太いタイヤを収めるために非常に幅のあるフェンダーやそれに合わせた専用ライトカウルを装備しています(ライト本体はYTM200のもの)。

 

カウルやデカールのデザインは基本的に既に販売されていた3輪バギーのYTMシリーズから受け継いでいますが、同時期のXTやDT200Rにも似せており当時のヤマハスタンダードを感じさせます。

樹脂製タンクは1.7gal=約7L、古いオフ車によくある空気穴チューブ付きの鍵なしキャップを採用。

 

部品入手とカスタム

最終年式が1989年であるBW200。

CDIやエンジン関係は部品が生きているものの、当然ながら純正部品のラインナップは別の車種に流用されている部品を除けばかなり壊滅的な状態です。

 

中古部品に関しても、そもそもが国内での車体流通が現状全く無いため解体される車両が発生せずオークションや大手中古部品取り扱い業者でもオリジナルの部品はほとんど手に入らない状態となっています。

 

世界のマニアによるレプリカ部品

…が、世界を見るとマニアが沢山いるようで、廃盤になっているカウル関係の部品はコピー品が製作販売されていたり、流用部品を探し出して廃盤部品をある程度補完することができるようになっています。

www.fattireconversions.com

いくつか部品を紹介してみましょう。

REAR WHEEL HUB ADAPTERS

 

FatTireConversion.com - 603-225-2779 x 254 - Your source for Yamaha BW200, BW350, & BW80 parts and info

BW200の9インチリアホイールを専用10インチリムに換装するキット。

 

ビレッド加工されたコンバージョンハブとAMS社製のリムにより23x10-10のタイヤや24x11-10のタイヤに対応。

このサイズはメジャーサイズではありませんが、ヤマハの90年代ディンバーウルフや現行のカワサキMULE4010 TRANS4x4などの純正サイズが適合圏内となり選択肢がかなり広くなります。

 

CARBURETOR INTAKE MANIFOLDS

https://fattireconversions.com/bw200parts.html#carbsandparts

廃盤になったキャブレターのインシュレーターを汎用のストレートインシュレーターに対応させるキット。

付属しているのはWiseco製なので品質は問題なく、Wiseco製のインシュレーターが入手不可能になっても国内流通しているもので対応することも可能です。

 

1985-1988 Yamaha BW 200 BW200 Big Wheel Plastic Kit

DC Plastics :: Plastic Kits :: Yamaha :: Big Wheel BW 80, 200, 350 :: 1985-1988 Yamaha BW 200 BW200 Big Wheel Plastic Kit

リンクは製造元のDC Plasticsのページ

画像はヘッドライトカバーのみですが、タンクを除いた前後フェンダーやサイドパネルもラインナップ。

使用されているプラスチック自体はヤマハと品質が同等品であるものの、純正カウルをマスター型としているので精度に若干のバラツキがあること、表面が半艶仕上げであることが純正品との差異となります。

 

他車種からの流用パーツ

エンジン周りに関してはXT、TWと共通な部分が多いので流用が効きますし、キャブレターもTKのY24Pというモデルなので、TWの2JLの高地補正機能付きキャブの部品(=TWの2JLキャブがBWベースの特別仕様)が流用できます。

 

カスタムに関してもマフラーはTW200のスリップオンが流用(FMFのマフラーが取り付け可能、流石に純正は無理っぽい)できるとのことで選択肢は沢山ありますし、IT200のタンク(BWと同じく樹脂製)を流用して11Lのビッグタンク化も可能。

 

単層交流なものの元々12Vですのでスピードメーター等各種補器類の装着はそれほど難しくはないのも大きな利点となります。

 

ライバル車種?

BW200が一定数の人気を得たのか、はたまた偶然開発時期が同じだったのか。
ホンダからも1986~87年の間にTR200 FATCATというバイクが販売されていたことがあります。

 

エンジンはATC200というバギーから流用したもので、排気量は199ccでした。

特徴的なのは5速のミッションで自動遠心クラッチを採用していること。

要はカブと同じですね。

 

調べた範囲では販売台数や人気を知ることはできなかったものの、販売後はDirt Bike Magazine内でも特集が組まれることがあったようでモトクロスやレーサーの世界以外のこんな狭いファンバイクの界隈でもYAMAHA vs HONDAの構図ができていたようです。

 

まとめ

TW以上に個性的な見た目で思い切り遊べるオフ車のBW200、ぜひ入手してみたいですね。

 

(2022/05追記)

以前はこちらの個所に登録云々の話を少し書きましたが、違法合法以前に当ブログとしては”競技専用車両を自分の手でナンバー登録する”考え方は支持しないので削除としました。