TW125とは一体どんなバイクだったのか

こんにちは。

 

国内仕様に存在しているTW200/225は皆さんもご存知だと思いますが、ヨーロッパ向けに生産され国内でも一部が輸入販売されていたTW125を知っているでしょうか?

 

以前はマニアの中のマニアにしか認知されていませんでしたが最近の125cc人気で一気にスポットライトが当たり、状態の良いノーマル車はかなりの高価格で取引されている模様です。

 

今回はそんなTW125について取り上げた記事を書いてみました。

 

購入時の参考にしてみてください。

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実は前期型と後期型が存在している

ネット上ではTW125に関して検索してみると、ヨーロッパ向けとして販売されデビュー時から販売終了まで特に変更なく生産が続けられるような書き方の記事が多いです。

しかし、しっかり調べてみるとTW200→225のような排気量変更を伴った大掛かりな改良こそないものの、エンジン以外の車体部分などは地道にマイナーチェンジが続けられたことがわかります。

 

モデルコードが変更されたのは一度だけなので、今回は前期型と後期型として取り上げてみました。

 

5EK(1999〜2001)

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画像は1999年式5EK1

車両スペック

以下2000年式5EK3オーナーズマニュアルより転載

全長x全幅x全高:2140x810x1120mm(TW200:2090x815x1115mm)

シート高:805mm(TW200:790mm)

ホイールベース:1330mm

最低地上高:260mm(TW200:250mm)

最小回転半径:2100mm(TW200:1900mm)

排気量:124cc

ボアxストローク:57.0x48.8mm

キャブレター口径:24mm(TK Y24P)

最高出力:12ps/9000rpm

最高トルク:9.7Nm/8000rpm

ミッション:5速リターン

始動方式:セルモーター

 

車両詳細

1999年ヨーロッパでデビューしたTW125。

 

SR125系のエンジンをベースにTWシリーズの足回りがつくように改良された5速ミッションを搭載。

このためTWとは違いクラッチが4枚構成です(キックペダルも未装備)。

キャブレターはTW200の2JLエンジン車と同じTKのY24Pですが高地補正機能はついていません(=BW200と同じもの)。

 

ポイントとしては登場時からフロントがディスクブレーキ化されており、兄弟車であるTW200よりも先にフロントディスクになっていること。

TW200Eのアウターチューブが5EK品番で始まるのはこれが理由です。

スピードメーターもトリップ計が装備されており、5LB系と同じDT125Rからの流用品(イギリス車のみ独自品番)となっています。

 

独自の装備としてマッドガードによりリアフェンダーが延長されており、泥はねが抑えられています。

 

また、ステップにカバーがついていたり(5LDという品番が割り当てられていますが流用元は不明)、ブレーキペダルが他のTWのシフトペダルと同じような感じでゴムカバーがついたものになっており(5EK品番)、全体的に通勤や一般的なタウンユースに優しく設計されているのかなと思います。

 

国別の仕様としてドイツ向けモデルの中に現地の若年層向けの免許制度(2013年に改正済み)の関係で80km/hに到達したタイミングで点火カットが起きるリミッターが設けられているモデルが存在して(5EK2、4、6が該当)おり、この影響でドイツ向けのモデルにはリミッターの有無による2つのモデルが併売されていました(日本では原付二種は60km/h制限なのであまり関係のない話ですが…)。

 

5RS(2002〜2004)

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画像は2003年式5RS3

車両スペック

以下2003年式5RS3オーナーズマニュアルより転載

全長x全幅x全高:2135x820x1120mm(TW200:2090x815x1115mm)

シート高:820mm(TW200:790mm)

ホイールベース:1350mm

最低地上高:255mm(TW200:250mm)

最小回転半径:2100mm(TW200:1900mm)

排気量:124cc

ボアxストローク:57.0x48.8mm

キャブレター口径:26mm(TK MV28)

最高出力:12ps/9000rpm

最高トルク:9.7Nm/8000rpm

ミッション:5速リターン

始動方式:セルモーター

 

車両詳細

2002年、モデルチェンジにより5RSになったTW125。

 

クラッチがTW200/225と同じ5枚構成になりました。

キャブレターも5LB以降と同じTKのMV28を装備。

これに合わせてスロットル周りが一新されています。

 

外見上の特徴としてはヘッドライトが四角いゼッケンカウルから丸い砲弾型ライトに。

TW200Eとは違うタイプの専用品を装着しています(ライトリム部分だけドラスタ400用を流用)。

 

フレーム周りは5EKと大きく変わりませんが、フロントフォークのアウターチューブやリアのブレーキ周りが5RS品番になりました。

特にリアブレーキはTW225と同じく130mm径のドラムブレーキになりましたが、品番から察するにどうやらTW225の方がTW125に合わせてモデルチェンジした模様です。

 

5RS独特の仕様としてリアのスイングアームが25mmほど長いものになっておりそれに合わせホイールベースが20mmほど長くなっています(恐らく5mmは計測誤差?)。

このスイングアームはTW225に引き継がれてはおらず、なぜ5RSのみスイングアームが長いのかは不明です。

 

国別の仕様としてこちらも5EKと同じくドイツ仕様が存在しており、5RSの2と4が割り当てられています。

 

 謎多き125ccエンジン

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オークションサイト該当エンジンより画像借用
TW125に搭載された124ccエンジン。

形式名がE306Eというエンジンで、見ての通りTWと同じようなデザインの腰下にどこか見たことあるような腰上が乗っかっているようなデザインをしています。

 

それもそのはず、エンジンのほぼ全ての部品をどこか他の車種から引っ張ってきた流用の鬼のようなエンジンなのです。

 

E306Eを構成している部品たち

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1.キャブレタージョイント:TW200E(5LB)

2.シリンダーヘッド:SR125(5N0)、ただしカムスプロケットの歯数が違うので注意

3.シリンダーブロック:YD125(3NS)

4.クランクケース:BW200(1RL=TW200と同じ)

画像に載っていない他の部品に関しては、

キャブレター:TW200(2JL)

ピストン:XT125(25A=YD125と共通)

(現在は純正STDピストンのみ入手可能。O/S品は社外品含め全て廃盤を確認済み)

エアクリーナー:TW200(2JL)

 

配線は三相なので5LB系と互換性があり、基本的には5LB以降のTWならポン付けで載せ替えできるそうです。

 

TW200/225との見分け方

ここからは中古車を探す際のポイント…というか非正規車両についての内容です。

 

 

TW125は非常に国内登録台数が少なく、正規車両の中古も結構な金額。

その中でも比較的安いTW125を探してみると、なにやら怪しい不思議な車両がたくさん出てきているようです。

 

それが、いわゆる書類デチューンによるボアダウン車両。

 

TW125は原動機付き自転車二種で、こちらも登録には書類と印鑑があれば登録できます。

一方でTW200は分類上軽二輪車両という枠に属しており、皆さんご存知の通り車検のない、登録時にも必要書類と印鑑さえあれば車両が無くても登録可能なものです。

そして原付から軽二輪への登録、またはその逆であるボアアップ/ダウンには現車確認は不要です。

ここではその方法を紹介することは控えておきますが、様々な方法によって125登録された車両が市場に出回っているようです。

 

決して250ccの車両を125で登録すること自体は違法ではありませんが、それはあくまで「きちんと125ccのエンジンが載っているor専用部品で排気量を減らしている」という車両のみが認められている話。

オークションの落札相場をのぞいてみると、残念ながら2JLやG315エンジンを搭載したまま125登録を行ったいわゆる闇ボア車両が出回っているようです。

 

確かに税金も安い原付登録ですが、これらの細工がされた車両に乗っていることが判明した際は当然脱税(地方税法第448条違反)&道路運送車両法違反ということになり逮捕される他、事故にあった際保険は当然おりません。

当然正しい方法でボアダウンされた車両もあるのでネットに上がっているボアダウン車両が100%闇ボアとは言いませんが、自分で見分けがつかないのであればこのような車両は選ばないというのが確実です。

 

…というわけで、ここでは正規車両と正しくエンジンを載せ替えた車両の探し方を紹介します。

 

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1.フレーム番号

TW125正規車の場合、5EKがDE011、DE012、5RSがDE051、DE052、DE054、DE055がフレーム番号となり、このうちDE012、DE052、DE055がドイツ向けのリミッター装備車です。

 

2.エンジン番号

TW125のエンジン形式は全年式E306Eです。

ここが削られていたり他の数字に置き換わっている場合は別形式エンジン載せ換えの可能性が高いので注意しましょう。

 

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3.ハンドルロック

TW125のハンドルロックはフレームのステム部分に取り付けてあります。

ちなみにステムシャフトもこの影響で切り欠きのある専用品になっているので交換の際は(まず無いとは思いますが)注意が必要です。

 

4.エンジンヘッド

上のエンジン単体の画像にある通りエンジンヘッド、特にカムスプロケットカバーがTW200/225と比べて円形の形状になっています。

SR125からの派生エンジンである痕跡で、排気量が大きいエンジンに載せ換えられていないかチェックする場合はここをチェックする人が多いです。

 

一応YD125系がG315や2JLとヘッド形状が同じエンジンで、こちらはエンジン形式が3NSとなっていますが、タマ数が少ないことや搭載するためにはミッション全バラ組み直しになるので載せ換え例はかなり少ないようです。

 

5.排気量刻印

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これは同じシリンダーブロックを使用している3NS系のもの。

このように124㎤の表記があります。

ここの部分が196のような他の数字だったり数字自体が削り取られているもの、何か上から貼り付けられているような感じでフォントが違うものは高確率でシリンダーに手が入っておりボアが変更されている可能性が高いです。

 

のんびり気長に乗れるバイクです

今回はTW125について紹介してみました。

 

決して今時の125には及ばないスペックで速い125と呼べるものでは無いですが、肩の力を抜いて気長に付き合えるとても良いバイクだと思います。

メインカーにもセカンド用途にも、他排気量のTWと二台持ちも楽しいかもしれませんね。

 

…というわけでノーマルの正規車両探してます…