こんにちは、めぐさんです。
最近各種SNSを眺めているとTWを新しく納車した方が多くなっていると思います。
実際ヤフオクでも驚くことにバイク部門の車両別検索ランキングにスーパーカブやGSX-R125、ADV150を押しのけTW200が2位に食い込む事態になっており、TW市場が再注目されていると感じます。
ところで、TWについてネットで調べてみるとオフ車だけあって頑丈な車体とエンジンでカスタム車も豊富だから初心者にはぴったりの車両です!なんて書かれている記事を多く見かけるのですが、大抵バイク査定サイトへ誘導する宣伝記事が多いため実際のところ忖度抜きで市場に転がっている車両はどうなのよ…という方も多いと思います。
私もTWを買う前にネットの海を彷徨って色々と情報収集をしていましたが、実際所有してみるとここは事前情報とは違うな…と感じることがいくつかあり、自分なりの考えをまとめた記事を作りたいと思いこの記事を書いてみることにしました。
というわけで今回はTWを購入してこれから永く付き合っていきたいと思っている方がTWを探す際にここを気にしてみてくださいという内容の記事です。
なお、安く手に入れる方法やここの店で買うと得するなどの宣伝情報は一切入れていないので少しでもバイクにコスパを求める人にはブラウザバック推奨です。
- まずはどのモデルを探すか
- どうやってTWを探す?
- 年式不明はフレーム番号で解決できる
- ノーマル=状態が良いは通用するのか?
- とにかく「現車確認」を怠るな
- 基本的に整備前提の納車です
- いくら手間がかかっても理想を追い求めたい方は…
- まとめ
まずはどのモデルを探すか
TWを探すためにバイク屋さんや大手中古バイクサイト、ネットオークションをチェックすると予算に応じてTW200、TW200E、TW225の3つが選択肢に出てくると思います。
数百台と登録されている中古車サイトの中から一気に一台を選ぶのは大変なので、まずはこの中からどのようなモデルを探すか絞ってみましょう。
TW200
1987年〜1998年式が該当するいわゆる初期モデル。
この年式のなかで1987年〜1990年式のモデルが2JL、1991年〜1999年式のモデルが4CS1〜3と5に分けられます。
一番オフロード系に振った見た目でコアなファンが多いですが年式が古いので状態の悪い個体が多いです。
ポイントとして強制開閉キャブ、フロントにドラムブレーキを装備しています。
キャブレターはレスポンスに優れた強制開閉キャブで、瞬発力の鋭さが特徴。
フロントのドラムブレーキも後年のディスクブレーキと比較すると扱いにくいことや、雨でのカックンブレーキと呼ばれる瞬間的な制動力が上がりすぎることによるフロントロックを起こしやすいという持病を抱えているため正直あまり初心者にはお勧めはできないかなと思います(結構な重作業になりますが後のモデルのフロント周りをゴッソリ移植してディスク化は可能です)。
画像は最初期である87年式モデルの2JL。
このロゴが入ったモデルにはコアなファンが多く、状態のいいノーマル車は価格が後述するDG07JやTW225に迫るほど高騰しています。
また、もっとも新しいモデルであっても30年以上前のバイクであり残っているタマ数が少ないため、このモデルを綺麗な個体として仕上げる際は潤沢な資金が必要です。
画像は96年式の4CS3。
四角いヘッドライト(角目)を装備したモデルでカラー変更をしつつ99年のモデルまでこのデザインのまま続きます。
カスタムに興味がないノーマル車両を探している中でオフロードよりの見た目の車両が欲しい方、山でダメージを負う前提で安い個体を探している方はこのモデルをお勧めします。
TW200E
1998年から2001年まで生産されていたモデルです。
この中で1998年〜1999年式が4CS4と6、2000年〜2001年式が5LB1と2に分けられます。
販売年数は短いですが全シリーズで最も生産台数が多かったモデルでもあり、相場もピンキリ。
これは後述する2000年のビッグマイナーチェンジが大きく関わってくるのですが、このマイナーチェンジが曲者で、4CSと5LBはエンジンや電装関係に互換性がない箇所が多いです。
台数が多く人気があるだけあって購入時にこの200Eを選ぶ方が多いですが、エンジントラブルで中古載せ替えや電装修理を行う際は注意しないと買った部品が使えない…なんてことになります。
画像は99年式4CS6。
丸目ヘッドライトにフロントドラム式ブレーキを装備しているのが特徴で、中古価格が非常に安くタマ数の多いモデルです。
ここまでのモデルが2JLという形式のエンジンを搭載しており、このあと紹介するDG0xJ系と比較するとかなりエンジンの中古相場が安いので、修理費が安く済むことが多いかなぁと思います(ノーマルに限るのと、古さ故の故障は多いみたいですが)。
また、ここまでのモデルが発電に単相交流の半波整流方式を採用しており、LEDやHIDバルブに交流対応の専用品を使用しなければならないこと、発電量の少なさから純正のような電球タイプのライトだとかなり暗いことが多いので注意が必要です。
画像は02年式の5LB2。
TWシリーズで最も生産量が多く、コストパフォーマンスが最も優れたモデルでもあるため一番人気のあるモデルです。
まず見た目の大きな特徴としてはフロントがコントロール性に優れたディスクブレーキであること。
ロード向けに舵を切るためにタイヤが変更されています(今までのブロックタイヤももちろん装着可能)。
画像だと少し見えにくいですがキャブレターも一般的な負圧式に変更されており旧型の強制開閉キャブよりもレスポンスは落ちますが、初心者にもかなり扱いやすい特性になっています。
私はエンジンチューニングに合わせて交換してしまいましたが普通に山で走らせたり街中で乗る分にはこの負圧式キャブが一番バランスがいいと思います。
その他の変更点としてこの5LB系からエンジンがDG07J系に変更になり電装系が三相交流の全波整流方式になりました。
ヘッドライトの明るさが向上し電装品の安定性が上がった事が大きく、通常の直流タイプのHIDやLEDが使用できるようになっています。
また、小さい項目ではありますが純正メーターにトリップ計(任意でゼロリセット出来る距離計)が追加され燃費計算やガソリンの残量予測が楽になりました。
燃料計を装備していないTWにとってこの変更はかなり大きな変更になり利便性が大きく向上しています。
TW225
TWシリーズの国内最終モデルであり、最も熟成されたモデルです。
販売は2002年から2007年まで。
中古相場はノーマル/カスタム車関わらずシリーズ内では最も高い部類で、状態の良い個体は新車価格どころか新車価格の1.5倍の価格が付けられているものも。
画像は2007年式の5VC。
最も大きな特徴としてエンジンが今までの196ccから223ccにサイズアップされたDG09J型に変更になりました。
これに合わせ外装デザインを画像のようなものに一新。
タンクも形状をそのままにタンクキャップをセローと同形状の物に変更してあります。
その他の変更点としてメーター形状の変更とリアのドラムブレーキが一回り大きくなっています。
どうやってTWを探す?
TWの年式についてある程度知識をつけて欲しい年式が定まったところで、続いてはTWをどうやって探すかについて触れていきましょう。
現在国内仕様の新車が存在しないTWの基本的な探し方は大きく分けて3種類。
バイクショップに並んでいる車両を選ぶ
Goo-netなどを使って既に店頭に並んでいるTWを買う方法。
大きなメリットとして基本的に整備済みの車両なので(または納車整備がある車両、一部未整備現状販売で安く販売している車両もあります)、悪徳ショップでない限りまずハズレは引きません。
納車後にトラブルがあった際に保証の範囲内で無料修理をしてくれたり、オイル交換を数回まで無料で行ってくれるお店もあります。
デメリットとしては割高になること。
ただしこれはあくまでお店としての利益や品質保証としての値段付けなのでおかしいものでは無いと思います。
もちろん買ったお店なのでその後長いお付き合いになると思いますし、TWを買うあなたに整備のスキルがなければバイク屋さんに整備をお願いすることが必須なため自動的にバイク屋さんでの購入になると思います。
が、当然それがその車両に見合った価格かと言われるとそれは別問題なので、実際にその価格で購入するかはあなた次第です。
バイクショップに車両を探してもらう
一定以上の実績がある業者のみが立ち入ることができるJBAやBDSなどのバイク専門オークションでバイクを探す方法。
予算と理想の状態の車両をバイク屋さんに伝えて、条件に近い車両を探してもらいます。
この方法のメリットは、かなり柔軟に車両を探すことができること。
専門の検査員による年式と状態に応じた適正最低価格に設定された車両が各オークション会場に流通されており地雷を引く可能性が低い他、レッドラインやBASなど会場からちゃんとした輸送網が確保されているので輸送トラブルもかなり低いと考えていいと思います。
デメリットとしては選定に時間がかかること。
当然毎週車両は入れ替わるので余程完璧な車両が出てこない限り一回のオークションで車両を選ばず1ヶ月から一年ほどかけてじっくり探すことをお勧めします。
ネットオークションや個人売買でバイクを買う
ヤフーオークションやメルカリ、ジモティーなどで出品されている車両を自分で購入する方法。
個人的にはしっかりとした整備スキルや目利きがある方以外はお勧めしません。
メリットとしてはとにかく安いこと。
個人売買のため最低限の価格で購入することができます。
デメリットとしては一切品質の保証が無い上にマトモな状態の車両がほとんどないこと。
店頭販売している車両をネットでも販売するために利用している業者もあるため一概に地雷しかないとは言えませんが、基本的に下取り価格がつかない車両で利益を出すために売っていたり訳あり車両をとにかく売り払いたい方が利用していることが多く、販売形態もノークレームノーリターンが多いため、購入してから蓋を開けたら実はとんでもない個体だった…でも泣き寝入りするしかないなんていうことも多々あります。
オークションの世界には価格が高い=状態がいいという常識は通用しません。
写真のみの判断は絶対に避けて最低でも実車確認を行い地雷を引いても泣かない自信がある人のみが利用するようにしましょう。
年式不明はフレーム番号で解決できる
ところで、中古TWでよくあるのが年式不明での出品。
バイク屋が面倒でわざわざ調べていなかったり、その手の知識がない人がオークションに出品しているパターンがあるのでこうなっていることが多いのですが、実はこれは簡単に解決できます。
必要なのはフレーム番号。
メインフレーム先端右側に打刻してあります(例:2JL-XXX・・・)
または書類に車体番号が書いてあるのでそちらでも大丈夫です。
番号をメモし、ヤマハのPC版公式サイトから製品サポート→部品情報検索のページにアクセスします。
項目二番目、車台番号検索に先ほどのフレーム番号を入力すると…
こんな感じに登録形式や年式が出てきます。
ノーマル=状態が良いは通用するのか?
TWといえばスカチューンが流行った事で良質なカスタムベースとして注目が集まり、市場に転がる車両の殆どが大きくカスタムされた車両となっています。
カスタムTWやノーマルTWを探している方、様々いらっしゃると思いますが、全てに共通しているのは「買ったからには長く乗り続けたい」という気持ちだと思います。
そしてここで気になるのが、よくネット上では中古のカスタム車は程度が悪いから気をつけろという話を目にした事がある方が多いのではないでしょうか?
これは正解です。
当たり前の話ですが、メーカーではノーマルで乗ることを基本にして設計開発をしています。
カスタムをするということはそのバランスを崩すということであり、当然その分だけ大人しく乗っている以上に車両の寿命は縮みます。
ずっと同じバイク屋で新車時からメンテナンスし続けている個体だったり、過去の整備記録が残っている上できちんと整備されていることがわかる車両であればまだ良いですが、TWは225の新しい車体でも製造から15年近く経っており残念ながらそういう車両は非常に少ないと思います。
そのためノーマルに近い車両を選んだ方が得策だと言えます。
…がここで一つ大きな落とし穴があります。
その中古車は本当にノーマル車ですか?
車やバイク車種問わず中古車市場は一般的にノーマル車に高価格、カスタム車に低価格をつける傾向があります。
その中でもTWシリーズは一番売れた時期がカスタム車(いわゆるスカチューン、ロンスイなど)の一大ブームだった時代なので、ショップにより工場出荷すぐのTWをカスタムした状態で新車として販売されていたことが多く、非常にノーマル車が少ないこと、
そして一過性のブームだったため流行りが終わってしまったあとの粗製乱造されたカスタムTWの扱いは酷く、結果として雑な整備に露天放置でとにかくボロボロの車体が市場に多く出回っていたために非常にノーマル車が高騰している状態です。
それならばこれからカスタムする予定であってもノーマル車を高い金を出して買えばとりあえず安心では?と思うかもしれませんが、ここが問題。
いわゆる「ノーマル戻し」が行われているTWが多いことです。
上で説明した中古車市場に出回る場合はノーマル車の方が買取相場が高くなるという関係で、自分の乗っていたスカチューン仕様をノーマルに戻して高く買い取ってもらおうと考えるユーザーが一定数おり、それに勢い付けるようにカスタムが流行っていた時代に新車外しされた純正部品が市場に大量に転がっていたおかげでノーマル戻しが非常に増えました。
ノーマル戻し=100%悪という訳ではないですが、中古車としての正しい状態判断が難しくなり、特に社外メーターに交換されていた車両をノーマルメーターに戻すと高確率でメーター戻しになる(高く売りたい人の心理なんで当たり前です)ため、知識がない人からすれば本来「乱雑に扱われていた走行数万キロのボロボロ」なはずの車両がまるで「数千キロしか走っていない程度極上車両」に見えてしまうことも多いです。
残念ながらバイク屋が出品している中古車サイトの個体でもこのような車両を見たことがあるので最早TWとノーマル戻しは切っても切れない関係になっているのが現状です。
ノーマル戻しをどうやって見破るか?
正直なところ、全てのノーマル戻しを完璧に見破るのは不可能だと思います。
TWの中古市場にはノーマルの部品が沢山出回っており、更に整備性の良い=様々な部品を簡単に交換出来ることで整備知識が少ない人でも簡単に安くノーマル戻しが出来ます。
適当なボロいカスタム済みTWを仕入れて正しい年式のカウル類と対応したメーターに交換、転け傷をタッチアップして軽く磨けばもう写真ではわかりません。
…ですが、そこまで気合いを入れていない雑なノーマル戻しをチェックする方法はあります。
外装色と年式のチェック
これは私の2000年式モデルのTW200Eです。
一見するとライト、ハンドル、マフラーを交換しているだけのように見えますが、実は前後フェンダーを黒いものに交換しています。
そう、この年式にこの色の組み合わせは通常存在しないのです。
TWはボディーカラーのラインナップが多彩に渡り、特にTW200Eと225は毎年タンク、前後フェンダー、サイドカバー、シートのグラフィックやカラーリングのどれかを必ず変更しているので、それを逆手に取って年式の確認をすることができます。
例えばこのTWがライト、ハンドルやマフラーを交換していない状態でノーマル車として売られていたとしましょう。
2000年式として前後フェンダーが黒いのはゴールドタンク個体、逆にタンクが水色なのは前後フェンダーがベージュ個体のみなので何かしら理由があってフェンダーを交換した=元々はフェンダーレスやスカチューンだった…?と疑うことができます。
当然これだけでその車両が100%良くない車両であるとは断言できないのは確かですが、一つの判断材料として十分使えるのではないでしょうか。
メーターの種類とパチモンメーター
TWのメーター交換歴有り率は非常に高いです。
安価で純正メーターや純正風の中華品が手に入るため、距離不明の社外メーター車を購入し売却直前に数千キロの距離が刻んであるメーターに交換して高値をつけるパターンも割と日常茶飯事です。
そのため中古購入時に走行距離を信用してはいけません。
ブレーキディスクの状態(残mmや痛み具合)や各部の痛み具合、エンジンの状態でベース車選定を行いましょう。
ただし、少しでもこの手の改ざん車の判断材料として、年式別のメーターデザインを把握しておいて地雷を踏む確率を少しでも下げることはできます。
明らかに年式がちがうものを取り付けていれば何か他にも問題を隠している可能性がある訳で、その時点で選考から外すことはできますからね。
TWには大きく分けて4種類のメーターが存在しています。
これが最初期モデルである2JL、4CS1と2に採用されているメーター。
パネルが青いのが特徴です。
このモデルのみ右上に速度警告灯の赤いランプがついています。
これが4CS3〜5に採用されているタイプ。
パネルが黒くなり速度警告灯が廃止になりました。
このタイプの中古相場が非常に安く、ノーマル戻しされた5LB系のTW200Eにこのメーターを取り付けて極上個体として偽装されている中古車を何度か見たことがあります。
4CS6、5LB1と2に採用されているタイプ(ただし配線の関係で4CSと5LBで品番は違います)。
インジゲーター(パイロット)ランプの色の組み合わせが変更、スピードメーターにトリップ計が装備されました。
このトリップ機能を移植するために過去の2JL、4CSに取り付ける車両が多く(移植自体もステーが共通なのでそのままASSYごと交換可能。ただし配線加工は必須)、中華製のパチモノも出回っています。
こちらがTW225に装着されているタイプ。
今までの角型が二個並んだレイアウトから丸いスピードメーター+ボックス型のインジゲーターという構成に。
社外メーター
そして最後に紹介するのが最近オークションサイトで流通しているところを見かけるようになった中華製メーター。
5LB系をコピーしたデザインでTW200用として格安で販売されています。
製品を見分ける特徴としては、メーター針の色、トリップのリセット用ノブ、インジゲーター周りのデザインが微妙に違います。
純正メーターと比較して非常に安く、当然クオリティも安かろう悪かろうといった感じ。
新車外しの純正メーターが普通に売られているTWにおいてこれが使われている中古車はわざわざ選ぶ必要はないと思います。
そして多いのが社外メーター車両。
機械式や電気式のメーターなど色々な製品が売られていますが走行距離はアテにしてはいけません。
新車時に交換されているかの判断は不可能に近いですし、交換時に元の距離数に合わせるのは少数派なのでまず間違いなく実走距離ではないと思います。
タイヤがツルツルでボディもサビサビなのにメーターが数百キロなんていう個体が普通に出回っていますがおかしいと思いませんか?
距離ではなくエンジンや車体の状態を元に車両選定を行いましょう。
そのほか細々としたところ
TW200/225のロンスイ車両をノーマルに戻す場合、稀にあるのがスイングアームのみではなくホイールやタイヤ、ブレーキごとゴッソリ交換すること。
過去の記事でも触れましたがTW225へモデルチェンジした際リアブレーキのドラム径が大きくなり、ハブとドラムが一体式になりました。
例えばTW225なのにドラムが小さいTW200用のブレーキを使っている場合、ロンスイ戻しの可能性があるということです。
TW200と225ではキーシリンダーとタンクキャップが違います。
200のキーシリンダーは上のメーター5LB系に映っているもの、225のキーシリンダーはセロー225と同じデザインのもので、ここを交換してしまうとタンクキャップと同一キーにできない(タンクキャップも交換したりどちらかのシリンダーを分解して配列を入れ替えていれば別ですが)ので過去に何かしらトラブルが発生した車両であると推測できます。
200のタンクキャップは旧DT系の大きくて6角形状のもの、225はセロー225やRZ系のやや小さめの五角形のものを使用しているためキャップに互換性がありません。
そのため、200の中古車のはずなのに小さいタンクキャップ、または225なのに大きなタンクキャップが装着されている場合タンク交換を行なっている車両だと判断することができます。
ちなみにTW225の五角形タンクキャップは交換用のゴムパッキンがないので動きが悪くなった時はASSY交換しかありません。
その辺り安く交換用のゴムパッキンが手に入る古い六角形タイプのが優れていると言えます。
とにかく「現車確認」を怠るな
写真のみでの判断は全く当てにならないと言い切ります。
これに関しては遠方の業者オークションでは対応できないので一概には言えないのですが、バイクショップや個人売買では必ず一度は実際に現車を見に行きましょう。
写真マジックという言葉があるくらいに写真ではうっすらとした傷やクラックなんかも撮るだけで消えてしまうので、オークションページでは気をつけてくださいとの文章が書いてあることが多いです。
流石に編集ソフトで肌のシワシミ消しレベルの加工をしている車両は少ないとは思いますが、それでも多少のコントラストや明るさの調整で小傷なんて簡単に消えるので一気に車両が綺麗に見えます。
また、車両の掲載ページに貼れる画像の枚数には制限があり車両の細かな状態を見せることができないことが多いため、通常では目につかないシートを外したバッテリー周りやタンクの裏側に回り込む配線、漏れやすいキャブレター周りや燃料コックなどの状態をチェックすることができません。
現車確認の時は必ず覗き込むか、外せる箇所はきちんと許可をとった上で取り外してチェックを怠らないようにしましょう。
最低限ここはチェックしておきたいところ
現車確認をする上でここを見ておくといいチェック項目をいくつか上げていきます。
なお、これから紹介する場所はあくまでチェックする際に見ておくと判断しやすい場所であって、ここさえ抑えておけば完璧というわけではないので他の場所でも何かおかしいなと感じる場所はしっかり見ておきましょう。
フレーム
ここでチェックするのは車体番号と本体の歪み。
まずは車体番号がかすれていないかと何か傷のようなもので読みにくくなっていないかをチェック。
意図的に傷がつけられているものは100%何かを抱えているので絶対に避けましょう。
フレームの中間、特に転んでも傷がつかないところに謎の凹みがないか、ノーマル車の場合はサイドカバーや各カウル部分が左右で明らかに角度がおかしい場所がないかをチェック。
バイクのハンドルをまっすぐにした状態で真っ正面と真後ろに立ち、きちんとタイヤとステムナットやタンクのセンターが出ているかをチェック。
これを行うことで事故などでフレームがくの字に曲がっていないかどうかをある程度目測でも確認することができます。
当然試乗ができるならハンドルをまっすぐにしてきちんと直進ができるかをチェックしましょう。
フロントフォーク
TWのフォークは細めの正立フォークが採用されており、他のオフ車よりも弱いです。
先ほどのフレームと同じですがハンドルをまっすぐにしてフレームとフォークの角度が揃っているかチェック。
また、サスペンションを動かしてフォークのオイル漏れがないかも確認しましょう。
納車時にオーバーホールをお願いしてしまうのも手です。
タイヤ
最近の車両は前後タイヤを仕上げ時に新品にしてしまうことが多いですが、古いタイヤをそのまま履かせている場合はもれなくヒビが入っています。
これはタイヤの経年劣化によるもので、基本的にヒビが入ったタイヤは限界が近いということになります。
また、劣化したタイヤはカチカチになっており雨の日に滑ってしまい非常に危険です。
なお、ブリジストン、ダンロップなどのタイヤにはサイドに4桁の数字が書かれており、そこから製造年月日を知ることができます。
タイヤは何もしなくても勝手に少しずつ劣化していくモノで、その消費期限は5年ほどとされていることが多いです。
バリ山で一見使えるように思えても実は劣化したものだった…なんていうこともあるので、出来るだけ納車時に新品交換が必須になります。
余談ですがタイヤはエアコンの室外機の前に置いておくと発生するオゾンによってタイヤの劣化が早くなるので保管の際は注意しておきましょう。
ブレーキディスク
TWのDG07J以降の形式に当てはまる項目です。
走行距離とディスクの状態を確認しておきましょう。
前オーナーがパッドを交換している事は多いのですがディスクまで交換している事は実はそこまで多くはありません。
基本的に使い方によってブレーキの減り具合は変わってくるので一概には言えないですが、それでもパッドの触れていない面と触れている面で減り具合をチェックして、メーターの距離と照らし合わせることで距離に対してあまりにもディスクが減りすぎている場合はちょっと怪しいです。
基本的に峠を攻めている車両でもない限り1万キロ程度ではそこまでペラペラにはならないので、ある程度の判断材料にもなります(逆にブレーキディスクをきちんと交換している場合は整備されている考えていいと思います)。
オイル漏れ
TWのエンジンは強いとよく言いますが、意外とオイルが漏れます。
経年劣化が原因のことが多いですが、前のオーナーが上までぎっちり回したりエンブレを多用するタイプの人だったりする場合ヘッドガスケットやシリンダーガスケットが抜けてしまい滲みの原因になります。
ただ一度修理してしまえばまたすぐに再発するものでもないので修理の際はエンジンのオーバーホールを同時に行ってしまうのがベターです。
続いて多いのがセルモーターの根元から漏れ出すパターン。
これは経年劣化でOリングが硬化したりするのが原因で、配線を外しセルモーターをエンジンから引き抜いてOリングを交換するだけで治るので修理自体は簡単です。
また、新しいOリングは旧品と色が違うので何か改修が加わったのかと推測されます。
燃料コックとキャブレター
タンクから送られたガソリンを空気と混合してエンジンに送る重要な部品。
ここでチェックするポイントは、本体にガソリン漏れなどで変色が無いかどうかです。
正直長期放置車はもれなく変質したガソリンによって経路が詰まったり内部のゴム部品やプラ部品がダメになってるのでオーバーホールが必須(純正キャブは各モデル共にオーバーホールキットが販売されています)ですが、本体にクラックが入ってしまってはせっかくのオーバーホールも無意味になります。
また、カバーを留めるビスがナメてしまっていないか、エアクリーナー側エンジン側共にインシュレーターのゴムが劣化して亀裂が入っていないかをしっかりとチェックしましょう。
燃料コックも同じで、TWの場合はON-OFF-PRIの3つがありますが各部にバルブを動かしてもちゃんと機能するか、どこからかガソリンが漏れてこないかをきちんとチェックしましょう。
コック取り付け部分の基部もパッキンが入っておりそこから漏れ出す例もあるのでタンクの裏まで光を当てて謎の変色がないか見ておくことをお勧めします。
内部のオーバーホールも可能で面倒であれば新品コックにしてしまうという手もありますが、ガソリンを抜かなければならないなど結構面倒です。
もしもエンジンがかかるなら…
エンジンの異音のチェック
基本的に純正マフラーのTWはスーパーカブを大きくしたようなエンジン音がします。
そこにカチカチとした音やガリガリ、ジャリジャリとした音が聞こえれば何か爆弾を抱えていると考えて良いです。
そのままアクセルを軽く捻ってスムーズにエンジンが回るかのチェック。
ここで謎のボコついた感触や変なところで頭打ちが起こると大体キャブレターのセッティングが合っていないだとかキャブレター内部のトラブル、インシュレーターに亀裂が入ってるなどのトラブルです。
キャブレターのオーバーフローやクラック
エンジンをかけてもすぐエンストしてしまう、エンジンの回転がやたらと暴れる、バイクの下にガソリンが垂れている場合はキャブレターの内部にあるフロートやバルブの不良でエンジンにちゃんとガソリンが送れていない状況になっています。
長期放置からの始動だとサビの破片やゴミがバルブに噛んでしまいバルブが閉じきらないために延々とキャブレターにガソリンが送られ溢れてしまい(オーバーフロー)漏れ始めるのです。
また、このオーバーフローという症状は設計上こうなってもエンジンにガソリンがかからないようにホースが取り付けられておりホースを伝ってガソリンが落ちてくるのですが、オーバーフローしていないのにキャブのどこかからガソリンが出てくることがあります。
この場合大体はパッキンの劣化による滲みや漏れが原因ですが、稀にキャブ自体にクラックが入ってそこから漏れてくることがあります。
パッキンは交換すればすぐ治りますがキャブ本体のクラックは基本的に新品交換になるので注意して見てみましょう。
ミッションの異音
ニュートラルに入ってるときは異音がしなくてもギアを入れたときやクラッチを繋いだ時にガラガラという音がすることがあります。
また、クラッチがやけに遠い、または異様に近い、一気に加速した時に音の割に進まない場合はクラッチの異常が考えられます。
クラッチは消耗品です。
とは言ってもすぐに無くなるものではないのですが、使い込むと消耗してクラッチが滑る症状が発生します。
基本的にはワイヤー調整で問題なく動きはしますが異音が発生するレベルだと交換したほうがいいと思います。
ちなみに不動車を購入した場合稀にクラッチが張りついてギアを入れた瞬間エンストすることがあります。
何度か衝撃を与えたり分解して無理やり剥がすこともできますが、こちらも交換推奨です。
灯火類の確認
これはエンジン不始動時でもある程度確認できますが、使用するのは走行中なので確認するなら始動時の方がいいです。
この場合確認するのはきちんと作動するかですが、点灯しない場合はただ球切れなのか、配線の接触不良なのか、根元のセンサーやリレーが壊れているかによって修理難易度や費用が変わってくるので注意。
基本的に整備前提の納車です
TWは製造後十数年経っているのが当たり前な車種。
いくら頑丈な車両だとしてもノントラブルなんていうことは防げません。
ただししっかりとした個体厳選と普段のメンテナンスを怠らないことで間違いなく長生きするバイクでもあります。
定期的なオイル交換だけではなく普段からオイル漏れを気にしたりどこかが痛んでいないかを軽く見ておくだけでも事前のトラブルを防ぐことはできます。
電装系は目に見えないのでお店で電圧計などを取り付けてもらって走行中に急激な電圧変化がないか見ておくというのも一つの手ですね。
例えば純正の液入り開放型バッテリーなら液量のチェックをして極端に減っていればバッテリー液を補充してやったりするだけでもトラブルが減りますし、シートを外すことで普段見えないコネクタ類に焦げたり変色がないかのチェックもできるので、極端な話車両火災を未然に防ぐことだってできるのです。
家に外水道がなかったり狭い駐輪場でこまめに洗車をできる環境が無くても、普段からタオルなどで車体を軽く拭いてやったり水を使わない洗浄剤でバイクを綺麗にすることを心がけてやるだけでも点検するときのバイク屋の心象は良くなります(商品を販売してその後のアフターサービスも担当するので重要なことです)し、当然自分だけでなくバイクを大事にしてるんだなと周りからのイメージも良くなる=トラブル時に助けてくれることも多いです。
近所の目というのは本当に大切なものでそれが盗難防止にも繋がったりするくらいですからね…
いくら手間がかかっても理想を追い求めたい方は…
ここから紹介するのは金銭的にも時間的にも余裕がある方向けの内容です。
フレームからバイクを作る
とは言ってもハンドメイドでフレームを作るということではありません。
カスタム車、ノーマル車関係なく部品単位で状態が良い車両を買って一から作ってしまえば良いのです。
嘘だろ…と思うかもしれませんが、これが一番長く付き合うのに楽な方法です。
考えてみてください。
中古TWの中でもまともな状態の多いノーマル車、とはいえノーマル戻しの件もあり確実に状態がいいとは限りませんし、カスタム車の極上個体も少なからず存在はしています。
現車チェックができる近場で探してもノーマルが全然見つからない、カスタム車ばかりがヒットする…なんていう状況もないわけではないです。
というわけでカスタム車からノーマル車両を作ってしまおうという考え方が出てきます。
ここで上でTWのノーマル戻しはよくないって言ってるじゃないかと思う方も居るとは思いますが、問題なのはあくまで中古として売り出す際にボロい車両を極上車両だと見せかけるために偽装行為をすること。
別に持ち主がノーマル車に乗りたいために外装を純正に戻すことは何も問題はありません(あくまで廃車まで乗りつぶすという前提での話です)。
極端な話、フレームさえ用意すれば大半の年式のTWのノーマル個体を再現することもできます(なんなら時間と予算さえかければ海外仕様も作れます)。
ヤマハはネット上で多数の車種のパーツリストを図面付きで一般公開しており、TWは200/225は国内正規モデルはほぼ全ての年式の部品を品番照会することができる他、その場で在庫や価格照会も出来るのです。
なので根気と時間と資金さえあれば高年式の225などで低年式の2JLや4CS初期車などの再現をすることも出来ます。
カスタム車を作るのであれば純正外装は必要ありませんし、気に入らない部品は交換して錆びてるところは削り落として好きな色に塗ってしまえば良いのです。
配線類も不要な配線(とはいってもTWはもともと配線の少ない車両ですが)を取り除くついでに破けている場所や痛みが酷いところをチェックして配線を巻き直してしまえばスマートになります。
いろいろなところに手を加える関係で最終的に車両売却をする場合はとても値がつかない仕様にはなると思いますが、自分で乗り続けて売らなければいい話なので関係ありませんよね。
ここで抑えておきたいのは、カスタム車、ノーマル車共にフレームとエンジンの状態がいい車両を探すということです。
例えばシャーシ関係、ステムベアリングの状態が悪くハンドルがゴリゴリいってしまう状態だとします。
ハンドル交換の時にステムベアリングやレースを新品にしてしまえばいい話です。
ですがエンジン周り、特にミッションはそう簡単に交換できるものではありません。
クランクケースを割る関係でエンジン自体をかなり分解しなければならないです。
そのため基本的にミッションが逝ってしまうとエンジン交換が真っ当な選択肢になります(クラッチのみASSY交換が可能なのでこれには当たらず)。
最初のベース選択時にここだけはとにかく抑えておけばあとはメインフレームが折れでもしない限り交換が効く部品ばかりなのでなんとかなるわけですね。
これは、カスタム車にはスカチューンやフェンダーレス化などによってフレームやタンクなどに加工が施されている個体が多いことに起因します。
この画像はTWの正規無加工メインフレーム。
TWは200/225/125全ての年式でメインフレームがこの形状になっており、追加で装着されるサブフレームの形状で200と225のテールカウルデザインに合わせています。
フェンダーレス化を行なっている車両の中にはテールランプをスマートに取り付けるためにフレーム後端を切ってる車両が多く、その関係でフェンダーやテールカウルを装着するためのサブフレームが取り付けできない車両もあるので購入時にはチェックが必要です。
また、タンクはスカチューン仕様製作時にサイドカバーを取り付けるための耳をカットしていることが多く、中古タンクを探す際も注意が必要です。
このゴムグロメットがついた部分、無くてもサイドカバーの固定は出来るのですが高確率でサイドカバー本体の他の固定部分が割れてきます。
海外向け部品を使用する
TWの機械部のパーツは純正品に関してはありがたいことに大半が現在も販売中で部品供給に関してはそこまで苦労しないと思います。
問題なのは外装部品。
特にカウルは販売終了率が高く、市場でも傷ありの中古が新品並みの価格になっている現状です。
ここで発生するのが海外モデルの純正部品という選択肢。
ラッキーなことに、向こうのTWにはブラックやホワイト外装が最近のモデルでも採用されているので在庫があるようです。
残念ながら特殊な色のカウルは軒並み販売終了しており、国内にしかない色や海外にしかない色のカウルがあるので一概に全てカバーできるというわけではありませんが、この二色さえ抑えられればラッピングなり塗装なりである程度色は再現できるので買ってみて損はないと思います。
国内各ディーラーや正規代理店では手に入らないため輸送工賃など価格は張りますが何よりも新品が確実に手に入るということが重要ですからね。
おそらく今後時間が経つにつれて更に機械部の廃盤(既にフロントフォークASSYは国内で廃盤になっていました。バラで部品は手に入るので組み立てた状態では廃盤という感じ?)が増えていくと思われるのでこういう海外モノ部品という選択は増えていくのかなという気がします。
まとめ
TWは残念ながら半分おもちゃみたいなバイクだと捉えられることが多く、雑な整備やそもそも整備をしていない状態の車両が非常に多いです。
私はそういう感覚が大嫌いなのでこのようなきちんと乗りたい人向けの記事を書いてみました。
そこまで過剰に捉えなくても…と思う方もいるとは思いますが、個人的には買ったからには大事に永く乗りたいと思うわけで、そのためにもこれくらいしっかり選んでじっくり手を掛けて乗るっていうのが良いんじゃないかなぁと思います。