こんにちは。
雪解けのめぐさんです。
正直滅茶苦茶欲しい。
- 過去にリアディスクブレーキキットが日本でも販売がされていた
- bradley PERFORMANCE PRODUCTS
- 基本的な部品構成
- 海外での取り付けレビュー(2023/09/25追記)
- インストールビデオ
- キットとしては発展途上だが改善できればかなり有用
注意:こちらの記事は日本国内未発売商品であり現物のない状態で既存の写真を基に推測しながら執筆しているため、実際の商品との相違点がある可能性があることを念頭に置いて閲覧して下さい。
今後製品を購入次第記事に相違があった点を修正していく予定です。
(2023/09/25:購入ユーザーによる取り付けレビュー動画を掲載しました)
過去にリアディスクブレーキキットが日本でも販売がされていた
TWの最も有名な特徴であるリアの巨大なバルーンタイヤ。
それを制動させるリアブレーキは発売初期から110mmドラムブレーキが採用されています。
ベースとなったXT200は勿論のこと、1987年のTWデビュー当時はセローでさえもリアブレーキがドラムの時代でした。
その後超人気バイクとなったセローは1993年にリアがディスクブレーキ化されましたが、TW200は当時販売数低迷により改良が中々進まず2000年のマイナーチェンジ時にようやくフロントがディスクブレーキ化。
その際にリアがアップグレードされることはありませんでした。
その後TW225にモデルチェンジした際にハブの設計変更を伴ったドラム大径化を行い、制動力を若干上げることに成功したものの国内モデル末期までドラムブレーキという形式に変更はありませんでした。
これは現在も販売されている海外仕様も同じことで、向こうに至っては相変わらずTW200用の110mmドラムブレーキが継続して搭載されています。
正直なところリアのドラムブレーキの制動力に関しては、非力な私でもノーマルタイヤやバギータイヤを容易にロックさせる程度の力を持っているのでそこまで不足を感じたことはないのですが、やはりダイレクトな感触が薄かったりコントロール性はほかの車種と比べると劣る傾向にあったのは事実であり、特に競技として使っているユーザーには不満に思われることが多かったようです。
これを踏まえてなのか、TW200がカスタムベースとして大ヒットした90年代後半~00年代にかけて複数のショップからTW200のリアディスクブレーキ化キットが発売されました。
BIKESHOP 南くるめ | TW用 オリジナル リアディスクキット ( パーツ・用品 ) |
現在インターネット上に残っている痕跡をたどると、U-TEC(閉店)、YSP南くるめ、バイクショップクリーンの3社に加えていくつかのメーカーがディスク化キットを販売していたことが確認できますが、残念ながら一部持ち込みでのワンオフオーダーメイドカスタム対応をしているショップ以外は現在すべて販売ラインナップから外れていることが現状です。
一方海外では一部のマニアたちがATVや他車種の部品を流用しつつ基本はワンオフ加工というスタイルでリアディスクブレーキ化記事がフォーラムに掲載されており、比較的ディスクブレーキ化はポピュラーではあります。
しかしながらやはり作業難易度が高いことや費用対効果が少ないことで基本はドラムのスタイルが維持されてるようです。
bradley PERFORMANCE PRODUCTS
恐らくこのブログを見ている方々にとっては初めて聞いたメーカーだとは思いますが、実際のところ私もこのキットを見るまで全く聞いたこと無いメーカーでした。
オーナーは元々ATVのプロレーサーだったようで、いくつものチャンピオンシップレースで優勝した経歴を持っている方。
レーサーとしての活躍の傍らモータースポーツ用品店も経営していた時期もあり、現在は引退してこちらのメーカーとして活動しているようです。
パーツとしてはリアの12インチホイールコンバージョンや、トレーラー牽引用のヒッチキット、エンジンの点火進角をズラしたカムチェーンギアが販売されているなど新興メーカーとしてはかなり精力的にマニアックなパーツをリリースしています。
こちらの辺りは今後当ブログでもクローズアップしていく予定です。
基本的な部品構成
パーツの紹介に移りましょう。
基本的にはブレーキドラムの代わりに取り付ける削り出しのディスクアダプター(ハブ)、汎用のブレーキキャリパーとマスターシリンダー、ディスク、この4つを車体に取り付けるために必要な細々とした部品が付属するような構成となっています。
キャリパー
商品画像や後ほど紹介するインストールビデオではシングルポットとなっていますが、製品ではこのゴールドのツインポットになるそうです(構成変更は無し)。
Some newly designed parts from Bradley Performance | Page 8 | TW200 Forum
雰囲気から察するにこの辺りのピットバイク用の中華キャリパーと思われます。
正直なところ中華キャリパーに対する信頼感は皆無で、出来れば国産車に採用されているキャリパーに交換したい…と思うんですよね。
そしてこの手の中華製バイク部品の多くが既存の国産メーカーのコピーなことが多く、このキャリパーも何かしらの車種のコピーなのでは…と考えました。
というわけで調べてみました。
恐らくこれはNSR50前期やNS50F系用の純正キャリパーのコピーです。
(資料&データ取り用に実物のNSR50キャリパー買いました)
正直なところ中華製キャリパーを前から見ると同じNSR50の後期型の方のキャリパーの方が似ているデザインとなっていますが、注目してほしいのはこの上から見た形状。
この大きな突起が二つ付いているようなデザインは前期型キャリパーの大きな特徴であり、中華キャリパーはこのデザインを採用しているんです。
上記二つのサイトがこのキャリパーに関してわかりやすく解説をしていますが、NSR50後期タイプの方はピストンやパッドの厚みの関係でもっと幅が広い設計になっているので、この中華キャリパーは恐らく前期タイプをベースに表側のパッドピン挿入口を埋めた(というか裏側からピンを差し込むようにした?)仕様となっていると思われます。
車体に装着させるためのキャリパーサポートは市販品によくある純正のキャリパー取付穴に更に追加で間に噛ませるアダプタータイプではなく、スライドピン部分から直に固定できるように設計されているタイプ。
探してみた限り17mmアクスルシャフト対応の汎用サポートが無かったのでここは専用設計なのかな?という感じでした。
こちらが上記のNSR50前期系と同じ65mmピッチなためそのまま換装が可能なのではないかと推測しています。
参考データ(NISSIN製NSR50前期キャリパー)
キャリパーピストン径:25.35mm
スライドピン長さ(短):25mm
スライドピン長さ(長):37mm
スライドピン径(短):7.65mm
スライドピン径(長):8.7mm
スライドピンピッチ:65mm
パッド
国内での入手性が気になるブレーキパッド。
一応公式サイトの方ではスペアパッドの販売が行われていますが、まず日本へ向けて発送していないのと、パッドの裏に彫られた品番を調べてみるとどうやらこちらも中華のピットバイク向けの汎用パッドの様子。
使用に問題ないとは思いますが、ベースがピットバイク向けな為生産しているメーカーとしても本当に数万キロの酷使を考えて設計しているか怪しいという気持ちもあり、個人的にはやはりデイトナやベスラを使いたいところ…
ということでもう少し調べてみると、本国の方で既にこのツインポットキャリパータイプを装着した方がいるようで、そちらの方のトピックを確認してみるとどうやらヒョースンのGV650/GT250のものがポン付けできる様子。
ヒョースンのパッドはベスラでも展開されており、品番はVD(SD)-131というものになるようです。
そしてこのベスラの131がホンダのMBX125にも適合となるわけなんですが…
なんとMBX125のパッドはデイトナ品番だとNo.4。
NSR50前期のパッドと共通なんです。
これが中華キャリパーがNSR50前期系キャリパーをベースにしたものなのではないか?という話のきっかけになった一つでもあります。
(ちなみにNSR50後期のパッドはNo.30で基本寸法とピッチが同一のため一応やろうと思えば入れることはできるようですが、摩擦材の厚みがかなり増しているためディスクのクリアランスが確保できず装着不可能とのこと)
マスターシリンダー
インストールビデオの映像のためシングルポット用のマスターシリンダーになってしまいますが、ツインポッドもHSKの40mmピッチマスターシリンダーを使っているようです。
この取り付け部40mmピッチというのが中々の曲者で、国産バイクの多くが45~49mmピッチを採用しており、それに合わせてNISSIN製などの社外品や純正品の大半が45mmと49mmピッチとなっています。
40mmピッチが純正採用されている車両は多くがブレンボやゲイルスピードのリアマスターシリンダーを採用しており、価格面以外にもストリート向けだと補修パーツの入手性があまり良くないことや、ラインナップにタンク一体型が無いことが問題として挙げられます。
このHSKのマスターシリンダーも例によって何かからコピーしたマスターシリンダーと思われるのでコピー元を特定できればいいのですが…。
こちらで検索した範囲では、ブレンボのPS13が40mmピッチなので、6mmのロッドを製作してレイアウトを調整しつつゲイルスピードのナックルジョイントを取り付ければ形には出来るのかな…?という感じです。
ただし、一応NSR純正マスターと同じ1/2mmピストン径ですが他に選択肢がないのでブレーキフィーリングの調整が効かないこと(ガツンと効きすぎる、または遊びが大きすぎる場合ピストン径変更が出来ない)など中々難しいところではあるのかなと思います。
ディスク
デザイン的に非常によく見かける感じなのですが、残念ながらディスク外径までは分かりませんでした。
ネットで確認すると、大体180~220mmまでのサイズがこのデザインになっているようで、10mm刻みなのでホイール径から相対的にサイズを求めることを断念しました。
一応調べてみた範囲ではディスク外径は190mmか220mmのどちらか、PCDは100(ピッチ70mm表記なので実際は99?)、内径は78mmであるようです。
(2023/03/13追記)
YZ80やYZ85(~2012)のリアディスクを調べたところどうやら外径190mm/内径84mm/PCD100の様子…。
ただしハブ側が8mmに対しディスクのボルト穴は6.5mmなので専門業者にて要加工と思われます。
一方220mmディスクはRV200バンバンのフロントが内径81.2mm/PCD100で使えそうな感じ。
こちらは最初から8mmボルト採用なのでもしかしたらポン付けできるかもしれません…。
海外での取り付けレビュー(2023/09/25追記)
既にいくつかのサイトで取り付け後のレビューなどがアップロードされているようですが、こちらの動画が改善点込みで分かりやすく載っていたのでご紹介。
英語ですが字幕ON→自動翻訳で日本語を選択すると問題なく内容を知ることができます。
インストールビデオ
シングルポットキャリパーのものですが、ツインポットでも作業自体は同じです。
作業工程で重要なポイントは3つ。
一つ目がこのフレームガゼットへの穴あけ。
6mmのボルトが通る穴で、唯一フレームへの加工となります。
どの場所に開けるかの寸法が出ていないのが気になりますが、マスター現物でレイアウトを確認しながら開ける形になりそうです(個人的には型紙が欲しい)。
二つ目がマスターシリンダーの取り付けレイアウト。
ロッドがマスターシリンダー本体に真っすぐ刺さるようにする必要があります。
画像下側のペダルからロッドへ変換するプレート(Sの形)は位置が決まっているのでそれを参考に位置出しをすると確実かもしれません。
三つ目がディスクローターのセンター出し。
インストールビデオの方では特に触れられていませんが、すでに取り付けたユーザーの方から正しく取り付けないと偏心してしまう可能性があるという報告がありました。
正直見ている限りローターボルトの形状や取り付け方法は一般的な純正ディスクローターは変わらないので、普通に取り付ければ日常使用にはそこまで問題は無いのかな…?という感じですが、恐らくコンバージョン用のハブの遊びとディスクの遊びが目一杯ズレると許容量を超えてしまうのではないかと推測しています。
ユーザーの中にはセンター出し用のアタッチメントを自作して取り付けている人も居る模様です。
キットとしては発展途上だが改善できればかなり有用
いかがでしたか?
今回は海外製のディスクブレーキキットを紹介してみました。
個人的な感想としては、日本国内で一般的に販売されている製品クオリティを求めると商品としての完成度はちょっと心許ないという感じです。
・中華キャリパーやマスターシリンダー本体の信頼性
→NSR50キャリパーやブレンボマスターで改善可能
・マスターシリンダーの車体への取り付けにクランプを使用している
→6mmボルトはブレンボマスターでも使用しているのでそこまで問題はない(最悪ボルトを高強度の物に交換できる)が、クランプとガゼットでの2点留め固定が上下のズレや歪みが発生するのではないかという懸念
・NSRキャリパーを流用していても補強リブのない中華製プレート型サポートで車体に固定している
→熱の加わるところなので一枚物のプレートでは歪みの発生がないかという懸念、仮にほかの車種の純正リアキャリパーを取り付けASSYごと流用できるかもしれないが、その場合キャリパーが完全に別物となるので前後の位置関係を再調整する必要があり、キャリパー側で調整できる範疇を超えてしまう可能性がある
・ディスクローターの純正流用が難しそう
→血眼になって調べた結果2車種のディスクが流用可能そうだということが分かったが、片方はボルト穴の加工が必須となっていたりPCD的に2mmほどズレる(ここの数ミリのズレは大きいです)可能性があり装着可能かかなり微妙な感じで、完全互換がまず不可能と言える
キャリパー関係をグレードアップしたとしてもこれだけネックな点があるので、そこはやはり発展途上というか過去の国内ショップが製品リリースの際に信頼性向上のために苦心していたことがよくわかる結果となりました。
ある程度ノウハウがある方はあくまでも気休めのオマケパーツ付きのディスクハブアダプターとして購入し、信頼できるショップで他コンポーネントを製作するスタイルが一番良いかもしれません。
ちなみに残念ながら販売はアメリカとカナダのみの模様。
日本で普通に手に入るようになるといいなぁ…